ブログ

交通インフラを守る

皆さんこんにちは!

株式会社栄和メンテナンスです。

 

~交通インフラを守る~

 

日本では、これまでに多くの地震が発生し、橋梁や高架橋にも大きな被害が生じてきました。

高速道路、新幹線、モノレールなどの交通インフラは、日常の移動を支えるだけでなく、災害発生後の救助活動、物資輸送、復旧作業にも欠かせません。

橋梁が地震によって損傷し、長期間使用できなくなれば、地域の生活や経済へ大きな影響を与えます。

そこで、既存橋梁の地震に対する性能を高める耐震補強工事が行われています。

耐震補強とは、単に構造物を硬く、強くすることではありません。地震の力を受けたときに、どの部分で変形し、どのようにエネルギーを吸収し、橋桁の落下や橋脚の倒壊を防ぐかを考える工事です。

今回は、高速道路、新幹線、モノレールなどの橋梁で行われる耐震補強技術について紹介します😊

地震時に橋梁へどのような力が加わるのか🌍

通常時の橋梁には、橋自身の重量、車両や列車の荷重、風などが作用しています。

地震が発生すると、地盤が水平方向や上下方向に動きます。地盤上に建つ橋脚も揺らされ、その上にある橋桁には慣性力が発生します。

橋桁が長く重いほど、大きな力が橋脚や支承へ伝わる可能性があります。

橋梁全体が同じ動きをするとは限りません。橋脚の高さ、地盤の硬さ、橋桁の構造、支承の種類などによって揺れ方が異なります。

また、川や谷をまたぐ橋では、橋脚ごとに地盤条件が違う場合があります。

耐震補強の計画では、橋梁の構造、材料強度、地盤条件、過去の地震被害などを調査し、地震時に弱点となる部分を確認します🔍

橋脚を鋼板で巻き立てる補強技術🔩

鉄筋コンクリート橋脚の耐震性能を高める代表的な方法が、鋼板巻立て工法です。

既存の橋脚の周囲を鋼板で囲み、内部の隙間へモルタルや充填材を注入して一体化させます。

鋼板で橋脚を拘束することで、コンクリートが外側へ崩れるのを抑え、粘り強く変形できる性能を高めます。

また、必要に応じて橋脚の曲げ強度やせん断強度を向上させます。

施工では、橋脚の形状に合わせて鋼板を製作し、現場で組み立てます。鋼板同士は溶接やボルトによって接合します。

鋼板と既存コンクリートの間に空隙が残ると、一体として働かない可能性があります。そのため、充填材を確実に注入し、必要に応じて充填状況を確認します。

河川内や道路中央部の橋脚では、作業用足場、仮締切、交通規制などの仮設計画も重要です。

コンクリート巻立てで断面を拡大する🧱

既存の橋脚の周囲へ鉄筋を追加し、新しいコンクリートを打設する方法がコンクリート巻立て工法です。

橋脚断面を大きくすることで、曲げやせん断に対する耐力を高めます。

既存コンクリートと新しいコンクリートを一体化させるため、表面をはつったり、目荒らししたりします。

アンカーを施工し、追加鉄筋を既存構造へ確実に定着させることも重要です。

新旧コンクリートの境界で力が伝わらなければ、断面を大きくしても十分な補強効果を得られません。

鉄筋が密集する部分では、コンクリートが隅々まで充填されにくくなります。流動性の高い材料を使用したり、打設方法を工夫したりします。

橋脚の形状が大きくなるため、道路幅、河川の流れ、周辺設備などへ影響しないかも事前に確認します。

炭素繊維シートによる補強技術🧵

橋脚や梁の周囲へ炭素繊維シートを巻き付け、樹脂で接着する補強方法もあります。

炭素繊維は軽量でありながら高い引張強度を持っています。大型重機による部材搬入が難しい場所でも施工しやすく、補強後の断面増加を抑えられる点が特徴です。

施工では、コンクリート表面の凹凸や脆弱部分を除去し、平滑に整えます。

下地処理が不十分だと、シートが剥がれたり、補強効果が低下したりします。

プライマーや接着樹脂を塗布し、繊維の方向を確認しながらシートを貼り付けます。シート内部に気泡やしわが残らないように、ローラーなどで丁寧に圧着します。

炭素繊維シートは薄い材料ですが、設計で決められた繊維方向、枚数、重ね長さを守る必要があります📏

紫外線、火災、衝撃などから保護するため、表面に保護材を施工することもあります。

支承交換で地震時の動きを制御する⚙️

支承は、橋桁と橋脚の間で荷重を伝える重要な装置です。

古い橋梁では、地震時の大きな変位に十分対応できない支承が使用されている場合があります。

耐震補強では、既存支承を高性能なゴム支承や免震支承へ交換することがあります。

免震支承は、地震時に橋桁を適度に動かすことで、橋脚へ伝わる力を小さくし、揺れのエネルギーを吸収します。

ただし、橋桁が動きすぎると、隣接する橋桁や橋台へ衝突する可能性があります。支承の性能だけでなく、伸縮装置、桁間隔、落橋防止装置などを含めて設計します。

支承交換では、橋桁をジャッキアップし、一時的に別の設備で支持します。

持ち上げる量が大きすぎると、橋桁や軌道、舗装、伸縮装置へ影響します。複数のジャッキを連動させ、荷重と変位を監視しながら作業します📊

新幹線やモノレールでは、軌道の高さや方向へわずかな変化も生じないよう、特に精密な管理が求められます。

落橋防止装置で橋桁の落下を防ぐ⛓️

大きな地震では、橋桁が支承から外れ、橋脚や橋台から落下する危険があります。

落橋防止装置は、橋桁と橋脚、橋台、隣接する橋桁などをケーブルや鋼材で連結し、過大な移動を抑える設備です。

通常時の温度伸縮を妨げず、地震時には橋桁を確実に保持する必要があります。

装置を取り付けるために、既存コンクリートへアンカーを施工することがあります。

アンカー位置に既存鉄筋があると削孔できないため、事前に電磁波レーダーなどで鉄筋位置を調査します。

設計された深さと径で孔を開け、孔内の粉じんを確実に除去してから接着剤やアンカーを施工します。

孔内清掃が不十分だと、アンカーの付着性能が低下する可能性があります。完成後には見えにくい部分だからこそ、施工記録と引張試験などによる確認が重要です。

変位制限構造と横変位対策↔️

地震時には、橋桁が橋軸方向だけでなく、横方向へ大きく動くことがあります。

橋桁が橋脚上から外れたり、隣接する構造物へ衝突したりしないように、横変位を制限する構造を設けます。

鋼製ブラケット、コンクリート製の突起、ゴム緩衝材などを使用し、橋桁の移動範囲を制御します。

ただし、構造を強く固定しすぎると、地震力が橋脚へ集中する可能性があります。

橋桁をどの程度動かし、どこで力を受けるかを橋梁全体で考える必要があります。

耐震補強は、一つの部材だけを強くするのではなく、橋桁、支承、橋脚、基礎がバランスよく働くように計画することが重要です。

基礎や杭の耐震補強🏗️

橋脚本体を補強しても、その下の基礎や杭が地震力に耐えられなければ、橋梁全体の安全性は確保できません。

既存基礎の周囲へ新しい杭を追加したり、基礎フーチングを拡大したりする補強方法があります。

地中の工事になるため、既存杭、地下埋設物、地下水などを確認しながら施工します。

鉄道や高速道路を供用しながら基礎補強を行う場合、掘削によって既存構造物が沈下しないように注意しなければなりません。

土留め、計測、掘削順序、地下水処理などを細かく計画します。

施工中は、橋脚の傾斜や沈下を変位計で監視し、異常があればすぐに作業を止められる体制を整えます⚠️

制震装置で地震エネルギーを吸収する🔧

橋梁の地震時の揺れを抑えるため、ダンパーなどの制震装置を設置することがあります。

ダンパーは、橋桁と橋脚などの間に設置され、地震時の動きによってエネルギーを吸収します。

油圧を利用するタイプや、金属の変形を利用するタイプなどがあります。

通常時の温度伸縮や小さな振動には対応しながら、大地震時には大きな抵抗力を発揮する性能が必要です。

装置本体だけでなく、取り付けるブラケットやアンカーにも大きな力が作用します。既存構造との接合部を含めて設計・施工しなければなりません。

供用中の構造物だからこそ施工精度が重要🚄

高速道路、新幹線、モノレールの耐震補強工事では、供用中の構造物へ新しい部材を取り付けます。

既存橋梁には、図面と実際の寸法が異なる部分や、長年の変形、補修履歴などがある場合があります。

施工前に現地を測量し、既存部材の位置や形状を正確に確認します。

工場で製作した補強部材が現場で収まらないと、限られた規制時間内に施工できません。

3次元レーザースキャナーなどを使って既存構造を測定し、補強部材の製作へ反映する技術も活用されています💻

耐震補強は災害後の社会を守る🌟

耐震補強工事の目的は、地震で橋梁をまったく変形させないことではありません。

想定される地震に対して、倒壊や落橋といった致命的な被害を防ぎ、必要な復旧性を確保することです。

橋脚の巻立て、支承交換、落橋防止装置、変位制限構造、基礎補強、制震装置など、橋梁の弱点に合わせて複数の工法を組み合わせます。

高速道路、新幹線、モノレールは、地震後の人命救助や物流、都市機能の回復にも重要です。

日常では見えにくい耐震補強工事が、巨大地震から橋梁を守り、災害に強い社会を支えているのです🏗️⚡🌉